ドラム知識

危険物ってなんだ

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ドラム缶に入れて保管したり運搬したりするモノの中には、危険物に該当するモノも多数あります。ここでは、どのようなモノが危険物に該当するのかを見ていきたいと思います。

危険物の定義

消防法第2条第7項により、危険物は定義されています。
危険物とは、別表第一の品名欄にあげる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。

危険物は、1.火災が発生する危険が大きい2.火災が拡大する危険が大きい3.消化が困難である、といった性状を持っています。
また、危険物には、それ自体が発火したり、引火したりしやすいだけでなく、他の物質と混ざりあることで燃焼を促進したりさせる物質もふくまれています。

危険物の分類

危険物は、消防法別表第一によって、その性質ごとに第1類から第6類までの6種類に分類され、それぞれの品名が指定されています。
また、危険物は個体と液体のみとなっており、気体は該当しません。
消防法における個体・液体・気体の定義は以下です。

消防法上の個体・液体・気体の定義
個体:液体、気体以外のもの
液体:1気圧において、温度20℃で液状であるもの、または温度20℃を超え40℃以下の間において液状になるもの
気体:1気圧において、温度20℃で気体状であるもの

液体窒素や液体酸素などの言葉をよく聞きますね、「液体」って書いていますが、どちらも20℃では気体ですのでので危険物には該当しません。

危険物施設の区分

指定数量以上の危険物を扱う施設は「製造所」「貯蔵所」「取扱所」の3つの区分に分かれており、これらを総称して「製造所等」と言われています。

製造所

危険物を製造するために、指定数量以上の危険物を取扱う施設の事を言います。
保安距離、保有空地が必要で指定数量が10倍以上の場合は、警報設備や避雷設備が必要です。
また、主な基準として、

・蒸気の排出設備を設ける
・避雷針を設ける(指定数量の10倍以上)
・換気設備を設ける
・屋根:軽量な不燃材とし天井は設けない
・はり:不燃材とする
・壁、柱:不燃材を使用 延焼のおそれがある外壁は耐火構造
・床:不燃材を使用、溜めますを設ける
・開口部は防火設備
・開口部にガラスを使用する場合は網入ガラスとする

貯蔵所

指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う施設です。貯蔵所は7つの種類があります。

屋内貯蔵所

屋内貯蔵所は、屋内(建物の中)において容器に入った危険物を貯蔵し、取り扱う施設です。
保安距離、保有空地が必要で指定数量が10倍以上の場合は、警報設備や避雷設備が必要です。
また、主な基準として

・蒸気の排出設備を設ける
・避雷針を設ける(指定数量の10倍以上)
・換気設備を設ける
・屋根:軽量な不燃材とし天井は設けない
・はり:不燃材とする
・壁、柱:耐火構造とする
・床:耐火構造とし、溜めますを設ける
・開口部は防火(網入ガラス等)する
・床面積は1,000㎡を超えない事
・保管している危険物の温度が55℃を超えないように措置を講じる事

屋外タンク貯蔵所

屋外タンク貯蔵所は、屋外にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、または取扱う施設です。
保安距離、保有空地が必要で指定数量が10倍以上の場合は、警報設備や避雷設備が必要です。
また、主な基準として

・防油堤を設置する※
・避雷針等を設置する
・タンクは厚さ3.2㎜以上の鋼板で作る
・圧力タンク以外は通気管を設置し、圧力タンクには安全装置をそれぞれ設ける
・液面計など、危険物を自動的に表示する装置を設置する
・タンクの容量の制限はありません
・一定の敷地内距離を保つこと

※防油堤は、タンクが1基の場合はそのタンクの容量、タンクが複数ある場合は最大のタンク容量の110%以上とする。(高さ:0.5m以上 面積:8万㎡以下 材質:鉄筋コンクリート及び土 周囲を構内道路に接する)

屋内タンク貯蔵所

屋内タンク貯蔵所は、屋内にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、または取扱う施設です。
保安距離、保有空地、避雷設備は不要で指定数量が10倍以上の場合は、警報設備が必要です。
また、主な基準として

・容量:指定数量の40倍以下、第4類の危険物(第4石油類・動植物油以外)は20,000リットル以下
・平屋建のタンク専用室に設置する事
・タンクとタンク専用室の壁間は0.5m以上の間隔を保つ事(2つ以上設置する場合はタンク同士の間も)
・圧力タンク以外には通気管を圧力タンクには安全装置をそれぞれ設ける事
・液面計など、危険物を自動的に表示する装置を設置する事
・屋根:不燃材とし、天井は設けない事
・壁・柱:耐火構造とする
・床:耐火構造とし、溜めますを設ける
・換気装置を設置する
・供給口には弁及び緩衝装置を設ける

地下タンク貯蔵所

地下タンク貯蔵所は、地盤面下に埋没しているタンクにおいて危険物を貯蔵し、また取り扱う施設です。
保安距離、保有空地、避雷設備は不要で指定数量が10倍以上の場合は、警報設備が必要です。
また、主な基準として

・容量:制限なし
・圧力タンク以外には通気管を圧力タンクには安全装置をそれぞれ設ける事
・液面計など、危険物を自動的に表示する装置を設置する事
・注入口は屋外に設ける事
・タンクの周囲に、液体危険物の漏れうぃ検査するための管(漏洩検査管)を4か所以上設ける事
・第5種の消火設備を2個以上設ける事
・地盤面から0.6m以上の深さに埋める事

簡易タンク貯蔵所

簡易タンク貯蔵所は、簡易タンクにおいて危険物を貯蔵し、取り扱う施設です。
保安距離、避雷設備は不要です。保有空地は屋外のみ必要で、指定数量が10倍以上の場合は、警報設備が必要です。
また、主な基準として

・容量:タンク容量は600リットル以下
・1つのタンク貯蔵所に設置するタンクは3つ以内とし、同一品質の危険物のタンクを2つ以上設置しない事
・タンクを屋外に設置する場合は周囲に1m以上の保有空地を設け、屋内に設置する場合は壁との間に0.5m以上の間隔を保つ
・タンクは簡易に移動しないように地盤面、課題に固定すること

移動タンク貯蔵所

移動タンク貯蔵所は、車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、または取扱う施設です。
保安距離、避雷設備、保有空地、警報設備が不要ですが、電気設備は防爆構造とする必要があります。
また、主な基準として

・タンクの容量は30,000リットル以下
・タンクの下部に排出口を設ける場合は、手動もしくは自動の閉鎖装置を設ける事
・静電気による災害が発生する恐れのある危険物を貯蔵する場合は、設置導線を設ける事
・危険物を貯蔵し、取り扱うタンクと結合できる結合金具を備えた注入ホースを設ける事
・消火器等の消火設備を設ける事

屋外貯蔵所

屋外貯蔵所は、屋外の場所において第2類の危険物の硫黄もしくは、引火性個体(引火点が0℃以上のものに限る)及び第4類の危険物のうち、第1石油類(引火点が0℃以上のものに限る)、アルコール類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物性油類を貯蔵し取扱う施設です。
保安距離、保有空地が必要で、避雷設備は不要ですが、指定数量が10倍以上の場合は、警報設備が必要です。
また、主な基準として

・排水の良い場所に設置し、周囲を柵等で覆い、区画を明確にする
・柵等は不燃材で作り、概ね1m以上とする。
・コンクリート等で舗装する時は、適当な傾斜をつけ、かつ、排水溝及び油分離装置を設ける事

取扱所

指定数量以上の危険物を取扱う施設です。取扱所は4の種類があります。

給油取扱所

給油取扱所は、固定された給油設備により、自動車等の燃料タンクに直接給油するための危険物を取扱う施設です。
保安距離、保有空地、避雷設備は不要ですが、指定数量が10倍以上の場合は、警報設備が必要です。
また、主な基準として

・容量:専用タンクは制限なし、廃油タンクは10,000リットル以下
・自動車などに直接給油し、及び自動車などが出入りするための、間口10m以上、奥行き6m以上の給油空地を保有すること
・給油ホームの長さは5m以下とし、先端に静電気を除去する装置を設ける事
・固定給油設備は、敷地との境界線及び、建物の壁から2m以上離すこと
・自動車などに給油する時は、原動機を停止させる事

販売取扱所

販売取扱所は、店舗で容器入りのままで販売するため、危険物を取扱う施設です。
保安距離、保有空地、避雷設備は不要ですが、指定数量が10倍以上の場合は、警報設備が必要です。
指定数量の倍数で2種類に分かれています。

第1種販売取扱所:指定数量の倍数が15以下のもの
第2種販売取扱所:指定数量の倍数が15を超え40以下のもの

主な基準として

・建築物の1階に設置すること
・真上に上階がある場合は上階の床を耐火構造に、上階がない場合は屋根を耐火構造とする。
・窓及び出入口には防火設備を設けること

移送取扱所

移送取扱所とは、配管、ポンプ並びにこれらに付属する設備で、危険物の移送を行う施設です。
保安距離、保有空地は不要ですが、指定数量の倍数に関係なく避雷設備は必要で、指定数量が10倍以上の場合は、警報設備も必要になります。
主な基準として

・トンネル内に設置する事は出来ません。
・市街地の道路下での埋設は深さ1.8m以上必要
・予備動力源を設けること

一般取扱所

一般取扱所は、給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所以外の危険物を取扱う施設です。
保安距離、保有空地が必要で指定数量が10倍以上の場合は、警報設備や避雷設備が必要です。

危険物の取り扱いの形態によって区分化されています。一般取扱所の種類
それぞれの区分によって、特例の基準があります。

この特例に適合する場合は、政令第9条第1項第1号、第2号及び第4号から第11号までの規定は適用しません。

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