ドラム知識

なるほど!!更生ドラム缶の作り方‐クローズ編‐

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200Lドラムは空になると、更生缶メーカーが回収し、更生ドラムとしてよみがえります。

準備作業

ドラム缶には日本製や輸入缶などドラム缶の製造国の違いや、M級、LM級、L級など板厚の違い、溶剤空き、オイル空き、樹脂空きなど前の内容物の違い、缶体がピカピカ、凸凹、ボロボロといった状態の違いなど種類は千差万別になります。そういったドラム缶を再生して利用するためには、準備作業が重要になってきます。この準備作業で洗浄できるもの出来ないもの、予備洗いするものしないものなどをしっかり選別することで、効果的な洗浄作業を行う事が可能です。

缶の選別

再生に適している缶と再生に適していない缶を選別基準に従って選別を行います。再生に適さない(再生しても使えないような缶体、サビ、変形がひどいものなど)は次の工程には進まないようになっています。

残渣処理

残渣物をバキューム等で抜き取ります。抜いた内容物は集められてリサイクルされます。

処理作業

予備洗浄

ドラム缶には多種多様の内容物があり、内容物の種類や物性によっては、洗浄ラインだけでは除去しづらいものがあり、そういった内容物の入ったドラムは予備洗いを行います。予備洗いは、噴射洗浄を用いることが多く、該当するドラムはラインの投入前に別工程として洗浄を行います。

チャイム整形

ドラム缶の洗浄工程はドラム缶の缶体整形からスタートします。ドラム缶の天地板巻き締め部(チャイム)を、上下の駆動ローラーにて締め付け、巻き締め部の矯正を行います。

胴体整形

ドラム缶の高さや缶体やビートを整えるために、缶の中に圧縮空気を入れてドラム缶を挟み、回転ローラーで補正・矯正を行います。

内部洗浄

整形工程が終わると次は内部洗浄工程になります。内部洗浄は「噴射洗浄」「チェーン洗浄」「酸洗浄」などの方法があります。

噴射洗浄:逆さにしたドラム缶の大栓の開口部からノズルを入れ、蒸気やお湯、洗剤などで内部を洗浄し、水洗い、防錆剤を塗布といった工程を数回行い内部を洗浄します。 完全自動化されているものや、手動で行うものなどメーカー各社でいろいろな設備があります。

チェーン洗浄:ドラム缶の中にチェーンやグリット玉と洗剤を入れ、ドラム缶を回転させながら、物理除去を行う。噴射洗浄ではなかなか落ちない油や樹脂、サビなどを除去することが出来きます。この装置も自動ライン化されているものからバッチ式のものまで多種多様な設備があります。

酸洗浄:塩酸やリン酸などを用いてサビを除去します。洗浄のあとアルカリで中和します。

溶剤洗浄:ドラム缶の中に有機溶剤を投入し、回転させるなどして、有機溶剤の溶解力を利用して洗浄を行います。
高粘度の油脂、樹脂などを除去することが可能です。

内部乾燥

内部洗浄後は残水を除去し、内部を乾燥させます。乾燥炉もメーカーによって異なり、縦型乾燥炉、横型乾燥炉、斜め型乾燥炉などがあり、乾燥方法も内部に温風を入れて乾燥させる方法や、外部から温度をかけて乾燥させる方法などがあります。

空気置換

内部乾燥後、ドラム缶の中の湿った空気とドライエアの入れ替えを行います。ドライエアを注入することにより、結露や水分の発生や、後サビを防ぐ効果があります。

内部検査

ドラム缶の大小どちらかの開口部に電球を当てたり、入れたりして、ドラム缶の内部を照らし、ドラム缶の内部に錆、油残り、樹脂残り、異物、水分等の状態を検査して、選別する。天板については、モニターで確認したり、鏡で確認したりしています。

塗装の剥離

内部検査後、合格品については、大小栓の仮栓を行い、外部研掃装置(ショットブラスト)で塗装の剥離を行います。ショットブラストとは、ドラム缶の外部塗装を小さな鉄球(大きさ0.6㎜~1.0㎜)を用いて剥離除去をすることをさします。

リークテスト(漏れ気密調査)

差圧・水没・超音波、ヘリウムガス等の方法を用いて、ピンホールや傷などによる漏れの有無を調査します。ドラム缶の内部を加圧もしくは減圧することで0.3mm以上の穴を検知することが出来ます。

仕上げ作業

塗装

ショットブラスト後のドラム缶を回転させて塗装を行っていきます。塗装には横型と縦型の2種類の方法があり、自動で塗装されるものや手動、半自動などの装置もあります。塗料には焼付けするメラミンタイプと自然乾燥するフタル酸タイプがあります。

焼付けメラミンで塗装する場合には、焼き付け用の乾燥炉が設置されており、一般的には150℃以上の温度で10分以上の時間をかけて硬化させます。

空気置換

塗装が乾燥したのちに、塗装用の仮栓を取り外して、乾燥時に熱せられたドラム缶内部の空気とドライエアを置換します。洗浄の内部乾燥、空気置換の時と同様に、結露の防止や、後サビの防止になります。

プラグの締め付け

製品の使用にあった大小栓プラグを装着します。

マーキング

商品によってはドラム缶にマーキングするものもあります。マーキングには吹付けタイプ、シルク印刷タイプ、インクジェットタイプなどがあります。

吹付けタイプはラッカースプレー等を用いて吹付け、シルク印刷タイプはシルクインキを用いて行います。
細かな文字やマークはシルク印刷タイプを用いることが多いです。

保管・出荷作業

完成したドラム缶を保管し、出荷指示に基づき出荷を行います。ドラム缶は内部の後サビや結露を嫌がりますので、必要最低限の在庫しか保管していなのがほとんどです。注文を受けて受注生産をすることで、高品質なモノをお届けすることが可能です。

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